情報処理安全確保支援士試験に合格したら…
はじめに
情報処理推進機構(IPA)が実施している情報処理技術者試験には「情報処理安全確保支援士試験(SC)」という試験区分があります。
たくさんある高度情報処理技術者試験のなかで唯一「国家資格」を取得することができる試験です。
日々の努力がむくわれて「合格した!」
という方、おめでとうございます!!
受験を終えられて合格発表待ちというかたも、お疲れさまでした!!
私も2021年4月の試験を受験して10月に情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)になりました。
合格して喜ばれているかたのなかには「合格したあとはどうしたらいいんだろう?」と悩まれている方もいらっしゃると思います。
私も合格後は「どうやって国家資格に登録するのかな?」とわからないことがありました。
そんな私が合格したあとに知ったことや、行ったことなどをいくつか紹介します。
POINT
・履歴書や名刺に記載する
・オンライン説明会(IPA)に参加する
・情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)に登録する
・「セキュリティアクション」を宣言する
・セキュリティプレゼンターになる
※現在、必置化の可能性が高まっています!
2022年5月に成立した経済安全保障推進法の影響により基幹インフラ事業を行う企業への情報セキュリティに対する規制が行われようとしています。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
履歴書や名刺に記載する
スキルレベル
情報処理安全確保支援士試験はスキルレベル4の高難度試験です。
スキルレベル1 |
ITパスポート(IP) |
スキルレベル2 |
情報セキュリティマネジメント(SG)、基本情報技術者(FE) |
スキルレベル3 |
応用情報技術者(AP) |
スキルレベル4 |
システム監査技術者(AU)、ITサービスマネージャ(SM) エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) データベーススペシャリスト(DB) ネットワークスペシャリスト(NW) プロジェクトマネージャ(PM)、システムアーキテクト(SA) ITストラテジスト(ST) 情報処理安全確保支援士(SC) |
情報処理試験の中では最高難易度となっています。
また、スキルレベル4の試験で年2回の試験実施をおこなっているのは情報処理安全確保支援士試験だけです。
それだけ需要があり求められている人材ということになります。
記載するときの注意点
登録を行っていない場合
〇 2022年10月 情報処理安全確保支援士試験 合格
〇 情報セキュリティスペシャリスト
× 情報処理安全確保支援士
「情報処理安全確保支援士」は名称独占の国家資格です。
登録が完了していない人が使用すると法律違反で罰せられる可能性があるので注意しましょう。
登録が完了している場合
おもいっきりアピールしましょう!
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)(登録番号 xxxx)
登録情報セキュリティスペシャリスト(登録番号 xxxx)
名刺などにはロゴマークも使えます!
利用手順は↓のIPAのページに記載されいるので是非!
徽章(バッジ)もあります!
スーツの胸元につけるとカッコイイかも。
IPAから貸与という形で利用できます。(貸与手数料2,970円(税込))
まだまだ認知度が低い国家資格ですが、みんなでアピールすれば人気も上がってくるはず!!
オンライン説明会(IPA)に参加する
情報処理安全確保支援士に合格した人や受験を考えている人、会社の人材育成担当の人などに向けた説明会をIPAが開催しています。
国家資格「情報処理安全確保支援士」がわかる!説明会(IPA)
合格発表がある前後ぐらいにIPAのホームページで説明会の告知があります。
内容は↓のページになります。(2022年7月15日開催は終了しています)
すこし堅苦しい内容ですが「情報処理安全確保支援士」がどういう活動をしているのか等を話してくれます。
あと、登録申請の流れも詳しく説明してくれます。
資格取得を考えている人であればだれでも無料で参加することができるので活用してみてはどうでしょうか。
登録期限は無期限
一度試験に合格してしまえば登録期限が無いためいつまででも保留できます。
さらに一度登録削除を行っても、また一から試験に合格する必要はなく再度登録申請することができます。(登録番号は前回と変わってしまいます)
旧セキュリティスペシャリストからの申請期限は終わっていますが、情報処理安全確保支援士試験については今のところ期限はありません。(2022年10月時点)
情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)に登録する
初回費用と年間費用
■ 初回費用
登録免許税: 9,000円
登録手数料: 10,700円
■講習会受講費用(法律により受講必須)
共通講習(1年に1回):20,000円
実践講習(3年に1回):80,000円(IPAが実施する講習の費用)
※令和3年4月から民間事業者が行う実践講習も認められるようになりました
※民間事業者が行う実践講習は費用が違います
※3年毎の更新費用は無料
初回費用が19,700円で維持費が年平均で約46,000円かかります。
IPAのページも参考にしてみてください。
申請の方法は↓
更新に関することは↓
情報処理安全確保支援士になると得られるメリット
・ITコーディネータ試験の科目免除
・情報セキュリティ監査人補の筆記試験免除
・PCI DSSの監査人に対する資格要件の充足
・弁理士試験の科目免除(理工V・情報)
・技術士一次試験の専門科目(情報工学部門)免除
・警視庁特別捜査官の3級職(警部補)のサイバー犯罪捜査官の採用資格
・技術航空幹部(3等空佐・1等空尉・2等空尉)の採用資格
・技術陸曹・海曹(2等海曹・1等空曹)の任用資格
これからも増えていく可能性が高いと思います。
情報処理安全確保支援士 検索サービス
情報処理安全確保支援士に登録完了してしばらくすると、専用の検索サービスに登録されます。
きになる企業名で検索してみると情報処理安全確保支援士への評価が高いかどうかがわかるかもしれません。
ちなみに、情報処理安全確保支援士だけがはいれるポータルサイトがあります。
自分の講習ステータスなどをみることができます。
「セキュリティアクション」を宣言する
中小企業に勤めているかた、または経営者のかた向けですが「SECURITY ACTION(セキュリティアクション)」を宣言することでメリットを得られます。
詳しくは↓を参考にしてください。
セキュリティアクションには「一つ星」と「二つ星」があります。
「一つ星」もしくは「二つ星」を宣言することが条件になっている補助金などの申請を行うことができます。
手続きの方法は↓のページに記載されています。
「一つ星」を宣言する
つぎの「情報セキュリティ五ヶ条」に取り組むことを宣言します。
・OSやソフトウェアは常に最新の状態にしよう!
・ウイルス対策ソフトを導入しよう!
・パスワードを強化しよう!
・共有設定を見直そう!
・脅威や攻撃の手口を知ろう!
現状で出来ていなくても構いません。
これから取り組んでいくという宣言をします。
申請は下記ページから可能です。
「一つ星」宣言の流れ
使用規約確認
↓
事業者情報入力
↓
自己宣言入力
↓
内容確認
↓
受付確認
↓
メール確認
↓
宣言完了
「二つ星」を宣言する
「一つ星」の自己宣言を行うと、「自己宣言ID」が発行されます。
このIDを使って↓の申請画面で申請します。
「二つ星」を宣言するために行うこと
・「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」で自社の状況を把握する
・「情報セキュリティポリシー(基本方針)」を定め、外部に公開する
※「情報セキュリティポリシー(基本方針)」のテンプレートが↓からダウンロードできます
「情報セキュリティポリシー(基本方針)」は自社のホームページ上で公開します。
セキュリティアクションを宣言すると「ロゴマーク」や「ポスター」などを活用できるようになり、企業活動に役立てることができます。
実際に宣言するところまではいかなくても、一度「5分でできる!情報セキュリティ自社診断」の資料を見ながら自社の現状をチェックするのも良いと思います。
オンラインでも診断できます。
セキュリティプレゼンターになる
「セキュリティープレゼンター制度」というのがあります。
中小企業等に対して情報セキュリティの普及啓発を行う人材を「セキュリティプレゼンター」として登録する制度です。
詳細はIPAのページに記載されています。
セキュリティプレゼンターに登録するメリット
・IPAの「情報セキュリティ対策支援サイト」から、セキュリティ対策資料等をダウンロードすることができる
・IPAが主催する「セキュリティプレゼンターカンファレンス」に参加できる
・IPAがセキュリティプレゼンターを講師として紹介する
・自主的にセミナーを開催する場合には、IPAが印刷製本したセキュリティ対策の教材等を提供を受けられる
例えば、IPAではセキュリティアクション制度を都市圏以外でも普及させるために、「地域へのSECURITY ACTION制度普及業務」を公募しており、その際の講演者の選定としてIPAのセキュリティプレゼンターに登録している人の中から「情報処理安全確保支援士」の資格保有者を選択することが望ましいとしています。
セキュリティプレゼンターに登録する
下記IPAのページからセキュリティプレゼンターに登録できます。
無料で登録できます。
登録者であることを「公開しない」(資料のダウンロードだけ)という選択もできます。
「公開する」を選択した場合は活動拠点やざっくりとした住所、資格所持の有無が公開されます。(↓で検索できる)
自主的にセミナーなどを開催したいというかたには役に立つのではないでしょうか。
おわりに
情報処理安全確保支援士はまだ知名度が低く、独占業務もないことから試験に合格しても登録をしない人が多いです。(2022年10月時点で20393人)
2020年までに3万人としていた政府の目標も達成できていません。
今後、独占業務や設置義務の可能性がでてくれば一気に人気になる可能性はあります。
情報セキュリティの人材不足と言われているいま、国の支援などにも期待しつつ情報処理安全確保支援士を続けていけたらと思います。
最後に私が情報処理安全確保支援士試験に合格したときに使った参考書です。
(著者:上原 孝之)
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この本はとても丁寧に説明されています。
こまかいところまで情報があるので出てくる単語を紐づけて理解することができました。
(購入の際は最新版を選んでください)
今まで言葉でしか覚えていなかった攻撃方法などが具体的な説明で深く理解できました。
記事を読んで頂きありがとうございました。
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